一般貨物自動車運送事業とは
一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、許可を受けなければなりません。この許可を受けるためには、許可申請を行う必要がございます。
一般貨物自動車運送事業とは、簡単に申しますと、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業のことをいいます。
要するに、他人から貨物の運送の依頼を受け、トラック等の自動車を使用して貨物を運送し、その対価として運賃を収受するという事業形態となります。
許可に要する期間(申請書を提出してから許可を受けるまでにかかる期間)
標準処理期間として、3~4ヶ月と定められております。
ただし、標準処理期間は、あくまでも目安の期間であって、必ずしもこの期間内に許可を受けられるものではありません。
例えば、申請先の許可申請受付件数が多ければ、審査に時間がかかり許可を受けるまでに6ヶ月程度要する場合もございます。また、許可を受ければすぐに事業が開始できるのかというと、そうではありません。許可後、事業を開始するためには、様々な手続が必要になります。
ですので、許可申請をお考えの場合は、事業計画の立案段階で許可後の手続に要する期間も含め、余裕を持った計画を立てることをおすすめしております。事業を開始したい時期から逆算して計画を立て、いつから準備を進めたらよいのかを考えてみるのも一案です。
許可を受けるための要件
一般貨物自動車運送事業の許可を受けるためには、様々な要件を満たさなければなりません。その要件は、貨物自動車運送事業法や地方運輸局長が定める公示基準等に定められております。代表的なものを下記に示しますが、さらに細かい規定が存在するなど、要件を全て満たすには、法令等の理解が欠かせません。
営業所について
- 使用権原を有することの裏付けがあること。
- 関係法令(農地法、都市計画法、建築基準法等)に抵触しないものであること。
- 規模が適切であること。
車両数について
- 営業所ごとに配置する事業用自動車の数は種別ごとに5両以上※とすること。
※霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要の少ないと認められる島しょの地域における事業については、5両以上に拘束されません(1両のみでも可) - 計画する事業用自動車にけん引車、被けん引車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、けん引車+被けん引車を1両と算定する。
事業用自動車について
- 事業用自動車の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切なものであること。
- 使用権原を有することの裏付けがあること。
車庫について
- 原則として営業所に併設するものであること。ただし、併設できない場合には告示に適合するものであること。
- 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画する車両のすべてを収容できるものであること。
- 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。
- 使用権原を有することの裏付けがあること。
- 関係法令(農地法、都市計画法等)に抵触しないものであること。
- 事業用自動車が車庫への出入りに支障のないものであり、前面道路との関係において車両制限令に抵触しないものであること。
休憩・睡眠施設について
- 乗務員が有効に利用することができる適切な施設であること。
- 睡眠を与える必要がある乗務員1人当たり2.5平方メートル以上の広さを有すること。
- 原則として、営業所又は車庫に併設するものであること。ただし、営業所に併設されていない場合であって、車庫に休憩・睡眠施設を併設するときは、当該休憩・睡眠施設の所在地と休憩・睡眠施設を併設しない車庫の所在地との距離が10キロメートル(東京都特別区、神奈川県横浜市及び川崎市の地域に営業所を設置する場合にあっては、20キロメートル)を超えないものであること。
- 使用権原を有することの裏付けがあること。
- 関係法令(農地法、都市計画法、建築基準法等)に抵触しないものであること
運行管理体制について
- 事業計画を適切に遂行するため必要とする員数の事業用自動車の運転者を、常に確保できるものであること
- 選任を義務づけられる員数の常勤の運行管理者及び整備管理者を確保する管理計画があること。
- 勤務割及び乗務割が告示に適合するものであること。
- 運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
- 車庫が営業所に併設できない場合には、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立していること。
- 事故防止についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告の体制について整備されていること。
- 危険品の運送を行う者にあっては、消防法等関係法令に定める取扱い資格者が確保されるものであること。
資金計画について
- 資金調達について十分な裏付けがあること。
- 事業の開始に要する資金の見積もりが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。
- 所要資金の全額以上の自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。
法令遵守について
- 申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること。
- 健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法に基づく社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること。
- 申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する常勤の役員が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前3ヶ月間(悪質な違反については6ヶ月間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む。)ではないこと。
その他法令遵守状況に著しい問題があると認められる者でないこと。 - 新規許可事業者に対しては、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、運輸開始の届出後1ヶ月以降3ヶ月以内に実施される地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導によっても改善が見込まれない場合等には、運輸支局による監査等を実施するものとする。
損害賠償能力について
- 自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済に加入する計画のほか、一般自動車損害保険(任意保険)の締結等十分な損害保障能力を有するものであること。
- 石油類、化成品類または高圧ガス類等の危険物の輸送に使用する事業用自動車については、1号に適合するほか当該輸送に対応する適切な保険に加入する計画など十分な損害賠償能力を有するものであること。
許可に付す条件等について
- 霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要の少ないと認められる島しょの地域における事業については、当該事業に限定するなどし、車両数について特例を認めることとする。(1両でも可ということ)
- 許可を受けた日から1年以内に運輸を開始すること。
- 運行管理者及び整備管理者の選任届を運輸開始前に行うこと。
- 運輸開始前に社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること。
- 貨物自動車運送事業報告規則第3条の規定に基づき、運輸開始前に確認報告を行うこと。
手続の流れ
当事務所へ依頼する3つのメリット
メリット1:運送事業専門の行政書士だから安心して任せられること
一般貨物自動車運送事業の許可申請には、様々な法令の知識が求められます。許可の要件も多岐に渡り、一つ一つ基準をクリアしていくには相当な労力が必要となります。運送事業をお考えの事業者様には、許可を受けてからの事業運営のことについて、お考えいただく時間を大切にしていただきたいと考えております。そのためにも許可申請については、行政書士に依頼することで、時間・労力の節約につながります。
許可申請を当事務所にご依頼いただくことで、戦略的な事業計画を立案される大切な時間を確保していただけますと幸いです。
メリット2:許可申請の準備段階から許可後の手続、初回巡回指導対応、事業運営上の支援まで、一貫したサポートを受けられること
一般貨物自動車運送事業の許可を受けるためには、ある程度の時間が必要になることは頭に入れておかなければなりません。申請から許可を受けその後の手続が完了するまでは、早くても半年から1年程度かかるかもしれないという考えを前提に、余裕を持って準備を進めていくことが重要となります。
また、許可後、事業を開始すると、巡回指導という法令遵守状況のチェックを受ける必要がございます。その際には、運送事業に必要な各種帳票類のチェックや事業計画通りに事業が行われているかのチェックを受けることとなります。当事務所では、許可申請を進める上で、事業者様の事業計画に適した帳票類のご提案や作成などについても、共に準備していくことで、巡回指導に慌てず、しっかりと対応できるようサポートさせていただきます。
メリット3:事業開始後、事業計画に変更(営業所の移転や新設、車庫の移転や新設、車両の増減車等)が必要になった場合、迅速に手続を進められること
当事務所では、事業者様の許可要件である運送事業の事業計画を管理させていただき、常に最新の状況を把握させていただけるように、顧問契約もご用意しております。これにより定期的に事業者様との接点を設けさせていただくことで、事業計画の変更についてもスムーズに手続を進めることが可能となります。
また、定期報告(事業報告・事業実績報告)についても、手続漏れが起こらないようご案内させていただいております。
業務内容及び報酬額
ご相談をいただいた後、業務に着手する前に、お見積書を提示させていただきます。
業務内容
(一般貨物自動車運送事業) |
報酬額(税別) | 備考 |
経営許可申請手続(新規) | 400,000円~ | 別途、登録免許税
(120,000円)が必要となります。 |
役員法令試験対策 | 100,000円 | 1回3時間、3回実施 |
運輸開始関係手続 (行政書士業務範囲内) 【運行管理者・整備管理者 選任等届出手続】 【事業用自動車等連絡書発行手続】 【運輸開始前の確認報告手続】 【運輸開始届出手続】 【運賃・料金の設定届出手続】 等 |
120,000円~ | 社会保険加入手続、就業規則の作成・届出を専門家に依頼される場合は、社会保険労務士の報酬が別途、必要となります。 |
自動車の登録申請手続 | 8,000円~ | 1台あたりの金額です |
出張封印によるナンバー取付手続 | 12,000円/1日~ | |
新規許可後の初回巡回指導対応 | 20,000円~ |
※上記報酬額の他に、自動車登録印紙代・ナンバープレート代等実費が必要となります。