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松澤行政書士事務所

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法令遵守体制を構築したい
Compliance with laws and regulations

法令遵守体制構築の重要性

運送事業の法令は頻繁に改正されます。最近の改正では、「標準約款の改正」「点呼記録簿への記載項目に睡眠の状況が追加」「乗務記録への荷待ち時間等の記録義務付け」「自動車点検基準の一部改正」「運行記録計の装着義務車両の拡大」等々、様々な改正がなされています。
これらの改正に迅速・適確に対応していくためには、情報収集の方法を検討したり、自社の最新の事業計画を適切に把握しておく必要がございます。運行管理者に全てを任せるのではなく、全社的な取組が欠かせません。
運行管理者の業務は、法令に定められております。これらの業務を全てこなしながら法改正にも対応していくのは、大変な部分が多々あると感じております。運行管理補助者を選任して運行管理者の業務の一部を補助させるなど、運行管理者の負担を軽減させていくことも重要な戦略の一つになり得ると考えております。

事業者の実態に合わせた法令遵守体制の構築が重要です

運んでいる貨物や車両数、運行管理者の選任数、運転者の選任数等々、同じ貨物自動車運送事業と言っても、事業者ごとに事情は違います。事業者によっては、社長自身がハンドルを握り、運転者として乗務している事業者も多々あるというのが実情だと感じています。

社長自身が運転者として乗務していることにより、実質的な管理者不在という状況に陥ってしまい、法令遵守体制の構築を阻む要因となっていることも少なくないと思います。
「どうしたら法令遵守体制を構築できるのか」を一緒に考えながら、事業の最適化を目指していきたいと考えております。

以下に、法令遵守体制の構築が難しいと考えられる要因をいくつか挙げてみます。

1.運行管理者が法令で定められている運行管理業務を理解していない

一般貨物自動車運送事業の運行管理者の業務は多岐に渡ります。運行管理者の業務は法令で定められております。どのような業務があるのかを把握し、漏れなく業務を遂行することが求められます。多々ある業務を適法に処理していくのは、思っているよりも難しく、法改正などがあった場合には迅速な対応が必要となります。運行管理者の業務を法令から理解し直すことは重要です。
法令を噛み砕きながら、一つ一つの業務について求められていることを理解していくことで、法改正があった際にも、どの部分が改正されたのかを理解しやすくなります。

2.運転者教育が十分に実施できていない(運転者に対する法定の指導)

一般貨物自動車運送事業者には、運転者に対する指導監督を行うことが法令で義務付けられております。この指導監督も運行管理者の業務の一つとなっております。
一般の選任運転者に対する指導については、全12項目※について毎年実施していく必要があります。毎年計画を立て、実施し、実施内容を記録し、記録したものを営業所にて保存する必要があります。この指導時間を確保するのが事業者にとっては難しいと感じております。出庫時間や帰庫時間も運転者ごとに違いますし、休日もシフト制により運転者ごとに定めている事業者もいらっしゃいます。
指導は、全運転者が一同に会して行う必要はございません。ですので、1対1の個別指導や班ごとのグループ指導、月に数回日時を設定してその中で出席できる日に出席してもらう、補講等で後日指導する機会を設けるなど、方法は多々考えられる余地があります。
大切なのは、全12項目の指導を実施するということです。事業者ごとに実施方法は違うのが当然ですので、各事業者が自社で実施しやすい体制を一から考えることも重要です。

※指導項目の12項目
「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針より」
①事業用自動車を運転する場合の心構え
②事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
③事業用自動車の構造上の特性
④貨物の正しい積載方法
⑤過積載の危険性
⑥危険物を運搬する場合に留意すべき事項
⑦適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
⑧危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
⑨運転者の適性に応じた安全運転
⑩交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因並びにこれらへの対処方法
⑪健康管理の重要性
⑫安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車の適切な運転方法

3.各種法定帳票類の記載事項などに不備がある

点呼記録簿や乗務記録(運転日報)、運行指示書、運転者台帳、指導記録簿等、一般貨物自動車運送事業者が備えるべき帳票類は、法令で定められており、様々なものがあります。また、記載すべき内容についても法令に規定がありますので、最低限法令に規定された内容は盛り込む必要があります。
法令の改正が行われれば、それに合わせて帳票類の記載事項に追加や修正が発生することも多いので、普段使用している帳票類にも追加や修正といった作業が発生いたします。追加すべき項目が追加されていないと巡回指導の際に指摘されることもありますので、しっかりとした帳票類の管理が求められます。
帳票類は、最低限法令で定められたものを盛り込んだ簡易的なものから、法定事項にプラスして各事業者の実態に合わせた記載項目を追加するなど、整備の仕方は様々です。使い方によっては、事業者にとって有益な情報を収集できる帳票となる場合もございますので、自社のオリジナル帳票類の作成を検討されるのも良いと思います。

このように、法令遵守体制を構築していくには、思った以上にもやるべきことが多々あります。上記は一例として挙げさせていただきましたが、法令遵守体制の構築には、事業者ごとに「実施の方法」・「実施の順序」・「実施の体制」などを検討していく必要があると考えております。運輸安全マネジメントを積極的に活用し機能させることも一案です。

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